帝国データバンクによると、企業約120万社のうち、女性社長の割合が全国一高い都道府県は青森だ。全国平均7・8%に対し、青森は10・6%。30年前(青森6・5%、全国4・2%)からずっと、「日本一」をキープしている。
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そして、青森の女性社長の就任経緯をみると、「同族承継」の割合が69・5%と全国平均(50・4%)より高く、「創業者」が21・5%で平均(35・6%)より低いのが特徴だ。
女性社長の比率が高く、なかでも同族承継が多いのはなぜなのか。
同社の調査担当者は「青森は男性の平均寿命が全国で最も低く、男女差が最も大きい」ことを要因に挙げる。厚生労働省が5年に1度つくる都道府県別生命表(2015年)によると、男性の平均寿命は78・67歳で、女性より7・27年短い。社長だった父親や夫が亡くなり、娘や妻が後を継ぐケースが多いと考えられるという。
「確かに、自ら起業し、雇用もしている女性経営者は、身近にはほとんどいない」。キャリア形成支援を手がける「I・M・S」(弘前市)を29歳の時に立ち上げた弘前市の三上友子さん(43)は、そう話す。当時勤めていた会社が、弘前から撤退することになったのが起業のきっかけだ。契約社員を含めた社員は、現在30人いる。
女性社長の割合が日本一といっても、まだ1割と、男女の偏りは大きい。市の商工会議所にも属しているが、どんな会合に行っても周りは男性ばかり。「心細かった。そもそもの人数が少ないせいか、女性経営者同士のつながりもなく、気軽に相談できる相手がいない状況を『ふつう』だと思ってきた」と振り返る。
ずっと「仲間がほしい」と思ってきた三上さんは、会員制の会「Venus Club(ヴィーナスクラブ)」の青森支部を、2月に立ち上げた。同会は、さまざまな働き方をする女性たちがつながり、成長しあう場として、2013年に秋田県で発足。東北では青森にだけ、まだ支部がなかった。女性経営者とつながり、情報や悩みを共有する場にしたいと考えている。
女性起業家も増やしていきたい…