サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は5日、各地で1次リーグ第1節の試合があり、昨季の覇者でE組の鹿島はホームでジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)を2―1で破り、初戦を飾った。
F組では、広島が敵地で広州恒大(中)に0―2で敗れた。本田圭佑が所属するメルボルン・ビクトリー(豪州)はホームで大邱(韓)に1―3で敗れた。本田はACL初出場でフル出場したが、得点を奪えなかった。
復帰の21歳、小笠原さんのエールに応える
「中にあわせながら、誰も触らないでもゴールに入る」。鹿島DF平戸太貴のイメージ通りのクロスだった。
前半43分、CKのこぼれ球を拾った平戸が右足を振り切った。鹿島でFKのキッカーを任せられるほどの自信を持つ。ゴール中央に向かったクロスはワンバウンドし、そのままゴールに吸い込まれた。この幸運な得点が、鹿島に落ち着きをもたらした。
鹿島の育成組織出身の21歳。「試合に出て成長したい」と昨季まで2年間、J2町田に期限付き移籍し、鹿島OBの相馬直樹監督の下で鍛えられた。当初はあまり試合に出られなかったが、昨季、過去最高の4位に入った町田の主力として活躍するまで成長した。昨年限りで引退した小笠原満男さんから当初は「鹿島から逃げるのか」と厳しい言葉をかけられたが、今季、鹿島に戻ると、逆に「育成から育った選手が鹿島を支えて欲しい」とエールを送られた。
鹿島はけが人が続出。1日の川崎戦から中3日だったため、先発5人が入れかわり、J1出場経験のない平戸にも出番が回ってきた。この日、与えられた役割は得意のポジションのボランチではなく、右サイドバックだったが、ACL初出場で初得点。「まだミスが多い。一歩目に立っただけ」と言う。それでも、リーグ戦で1敗1分けと出遅れた鹿島にとってこんなラッキーボーイはありがたい。(河野正樹)