カナダのトルドー首相が大手建設会社の贈賄事件に介入しようとしたとの疑惑が持ち上がり、苦境に立っている。トルドー氏は「不適切なことはしていない」と否定するが、元閣僚が介入を認め、側近が辞任に追い込まれた。閣僚を男女同数にしたり、難民受け入れに積極的だったりと、リベラルな政策で国際的に認知されるトルドー氏。この問題を受けて支持率は急落し、10月までにある総選挙への影響も必至だ。
問題になったのは、カナダの建設会社SNCラバランが、2011年まで続いたカダフィ政権下のリビアで贈賄を働いたとされる事件を巡る対応だ。有罪になると公共事業を10年間受注できなくなるため、同社は罪を認めて罰金などを払う代わり、裁判を打ち切る司法取引を希望。司法当局は裁判を続けることを決めたが、トルドー氏や首相秘書官らが当局に取引に応じるよう働きかけたとされる。
政権にとって大打撃なのは、1月までトルドー内閣の法相兼司法長官を務めたウィルソンレイボールド氏が「介入があった」と証言したことだ。カナダ紙が同氏が事件をめぐって首相から圧力を受けていたと報道。同氏は内閣改造で格下の退役軍人相に横滑りしたが、2月12日にはこのポストを辞任していた。
同氏は2月末に下院司法委員会に出席し、昨年9~12月、首相や周辺の計11人から「司法取引をしなければSNC社の経営が悪化し、従業員の雇用に影響する」と働きかけを受けたと証言。同社が従業員を多く抱えるケベック州で、トルドー氏が「選挙が迫っている」と述べたとし、政治目的の介入だったことを示唆した。要求に応じなかったため、内閣改造でポストを奪われたとも主張した。
トルドー氏は7日の記者会見で…