世界銀行のデビッド・マルパス新総裁が11日、就任後初の記者会見を開き、中国などによる不透明な開発投資への懸念を念頭に、「債務の透明性や事業の質に注目していきたい」と述べた。「中国は世銀から多額の借り入れをしてきたが、今後は大きく減る過渡期にある」とも指摘した。
マルパス氏はトランプ米政権で財務次官を務め、米中通商協議の交渉にも直接当たってきた。中国の開発融資を巡っては国際社会からの懸念も高まっており、マルパス氏は、「アフリカではすでに17カ国が、透明性を欠いた重い債務のリスクに直面している。さらに新しい契約が続いており、債務に苦しむ国の数は増えつつある」と警告した。
マルパス氏は、現政権の発足前から経済顧問としてトランプ大統領と親しい関係にある。任期途中で辞任したジム・ヨン・キム前総裁の後任として、トランプ氏の長女のイバンカ氏とムニューシン米財務長官らが新しい総裁候補に選び、今月9日に正式に世銀総裁に就いた。(ワシントン=青山直篤)