沖縄・読谷村で合宿を張るラグビー日本代表に、グレイシー柔術の指導者がやってきた。選手たちは技術を習得し、ラグビーの勝敗の鍵を握る「密集戦」を制すことができるか。
ラグビーワールドカップ2019
臨時コーチの名はライアン・ヘンリー氏(41)。ニュージーランドではジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)のハイランダーズで指導した縁があって来日した。地元では生徒約500人のジムを主宰する。ヘンリーコーチの師匠はホイラー・グレイシー。2000年代に総合格闘技「PRIDE」で注目を集めたグレイシー一族の1人だ。
ヘンリーコーチによれば、ラグビーの練習に柔術を採り入れるのは一種のトレンドだという。たとえば、タックルされて体を押さえ込まれた状態で、相手をどかして逃げる動きが、腰を使って相手をはね返す柔術の動きと似ているのだという。
日本代表が9月に開幕するワールドカップ(W杯)で戦うアイルランドやスコットランドなどの選手たちはフィジカルが強い猛者ぞろい。柔術も駆使しながら彼らとの密集戦を制することができるかどうかは大事な争点になる。
15年W杯では、エディ・ジョーンズHCが総合格闘家の高阪剛さんを招いてタックルなどを強化し、成果を見せた。19年W杯でも成果を上げられるか。
指導初日のこの日、報道陣に公開されたのはコンタクトを伴わない基本的な内容。ハイランダーズで教わったSH田中は「きょうは柔術の序の口。これからバチバチやっていくと思う」。自身はタックル強化につながった経験があるだけに、その手腕に期待していた。(能田英二)