スペイン内戦で勝利し、36年にわたる独裁を敷いたフランコ総統(1892~1975年)の墓について、同国のカルボ副首相は15日、マドリード北部にある慰霊施設から6月10日に別の墓地へ移す方針を明らかにした。AFP通信が報じた。内戦犠牲者に配慮した措置だが、移設に反対する人々もおり、4月の総選挙で是非が再燃する可能性もある。
墓は現在、マドリード北部の慰霊施設「戦没者の谷」にある。施設はフランコ総統をあがめる色彩が強く、同じ場所に遺骨が納められた3万人以上の内戦(1936~39年)犠牲者の遺族にとっては、訪問への抵抗があった。
このため、サンチェス首相は昨年8月以降、すべての国民がわだかまりなくこの施設を訪ねられることを狙い、移設の手続きを進めてきた。墓は今後、総統の妻が眠るマドリード郊外の公共墓地に移すという。
ただ、フランコ総統を評価する声は一部のスペイン世論に根強く、墓の移設は世論を二分。総統の家族は移設に反対して裁判所に訴えを起こしている。(パリ=疋田多揚)