第91回選抜高校野球大会は26日、1回戦の3試合があり、第2試合で広陵は八戸学院光星(青森)と対戦した。五回に藤井孝太君(3年)の左前適時打などで2点を先制し、先発の河野佳君(同)が完封。広陵は30日の第1試合(午前9時開始予定)で、東邦(愛知)と対戦する。
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熱い思い マスク再び 捕手・鉤流大遂君(3年)
2点リードの八回表。悪送球などが重なり2死二、三塁のピンチが訪れた。捕手の鉤流大遂(つりゅうひろみち)君(3年)はマスクを外し、内野手とともにマウンドへ駆け寄った。甲子園は1年の夏以来3回目だ。「こういう時こそ、自分が何かしなければ」。変顔をすると、先発の河野佳君(同)も噴き出した。
この日、河野君の初球を受けた時から「今日は腕が振れている。調子が良い」と直感。実際、8奪三振の好投を続けていた。
目の前の相手打者は内角に弱いことを調べ上げていた。「ここは勝負だ」。外角を3球続けた後、河野君に向かって両手を大きく広げて、内角の直球を要求。遊飛に打ち取ると、ベンチに戻る河野君にミットを突き出し、「ナイスピッチ」と声をかけた。
昨夏も正捕手として甲子園へ。新チーム発足後も打撃の勝負強さを生かし、中国大会での優勝などに大きく貢献してきた。
だが、2月に一塁手への転向を告げられた。部員同士の競争を活発にし、より強いチームにするために中井哲之監督らが考えたことだった。
小学4年で野球を始めてからずっと捕手だった。広陵では1年生ながら現・広島カープの中村奨成選手と一緒に捕手として2年前の夏の甲子園のメンバーに選ばれるなど、その才能は早くから注目されていた。
捕手をあきらめきれず、一塁手の守備練習と並行して、日課にしていたコーチとペアになって捕手の防具を着けた捕球練習も続けた。その思いが届いたのか、再び甲子園でマスクをかぶることができた。
この日は期待に応え、エースを支え続けたが、快音を響かせることはできなかった。「強い打球を、と思いすぎて空回りしてしまった。次は甘い球を捉えてチャンスで走者をかえしたい」と力を込めた。(高橋俊成)