(30日、選抜高校野球 東邦12―2広陵)
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広陵(広島)の内野手村上太朗(もとあき)君(3年)の背番号は18番。おもに三塁コーチを務める。苦戦を強いられたなか、手をたたきながら選手たちを鼓舞し続けた。
仲間に背中を押されてのベンチ入りだった。選抜出場が決まった後の2月、18人めの最後のメンバーを決める部員間の投票で選ばれた。主将の秋山功太郎君(同)も「太朗は本当に優しくて良いやつ。誰からも好かれるし、三塁コーチとしていつも声を出してくれるチームの元気印」と太鼓判を押す。
まじめな練習姿勢と試合をよく見ていることを買われ、昨秋の県大会から三塁コーチを任されてきた。最初は選手として試合に出たい気持ちもあったが、昨秋の中国大会の創志学園(岡山)戦で、自分の判断が1点につながった経験を機に、コーチとしてチームの勝利に貢献できるやりがいを感じた。
試合前には相手校のデータを整理し、試合中も相手の守備位置や投手の動きを見て常に状況をつかむ。初戦の八戸学院光星(青森)戦では事前に相手エースがよく三塁へ牽制(けんせい)することを調べ、警戒するよう走者に伝えた。「太朗が回したら行くけぇ、頼むわ」。仲間が信頼してくれるのがとてもうれしいという。
「完璧な判断で走者を生還させて、てっぺんをとりたい」と話す村上君。30日の東邦(愛知)戦では、八回2死一、三塁で秋山君が右越えの打球を放つと、「ゴー、まわれ」と大きな声をかけながら、両手をぐるぐる回して走者に伝えた。相手の外野の守備位置が極端に前に出てきていたことを事前に確認。自信を持って一塁走者に走るよう指示できた。
九回には代打で登場。内野ゴロだったが、ヘッドスライディングをして最後まで諦めない姿勢を見せた。
兄・嘉一さんは2017年夏の甲子園で広陵の主軸として活躍し、準優勝に貢献した。試合後、「(コーチを経験して)さらに広い視野で野球が見られるようになった。課題のパワーをつけて、夏はレギュラーになりたい」と力強く語った。目指すのは、夏に優勝して兄を超えることだ。(高橋俊成、安藤仙一朗)