広島大会は13日、1回戦13試合が6球場であった。高陽東や総合技術といった公立の実力校が初戦を突破した一方、甲子園出場経験もある瀬戸内は府中東に敗れた。14日も6球場で、1回戦12試合が予定されている。
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(広工大7-6庄原格致)
「絶対に塁に出て、逆転する」。九回裏1死、庄原格致の主将懸田(かけだ)陽平君(3年)は雨の中、打席に向かった。六回裏、山本陸弥君(2年)の3点適時三塁打などで同点に追いついたが、九回表に1点勝ち越されていた。
ここまで無安打。初回や五、六回の好機で凡退に倒れた悔しさを力に変え、甘く入った変化球を振り抜いた。打球は中前で跳ね、安打に。さらに後続の安打などで三塁へ。満塁でサヨナラの好機。しかし本塁を踏むことは出来なかった。
守備でも奮起。泥だらけになりながら、打球に食らいついた。日頃から1時間ぶっ通しでノックを受けてきた自信が支えになった。
もう一つ勇気を与えてくれたのが、帽子のつばの裏にぎっしり詰まったメッセージだった。
「絆」「頑張れ」「君はアイアンマン! できる!」。クラスの友だちが開会式前日に書いてくれたものだ。みんながついていてくれる……。滑りやすい雨の中でも、失策は一度もなかった。
主将として、常に仲間を明るく励ましてきた。春の県大会では自主性を重んじる瀬尾充秀監督の意向で采配を任され、自らサインを出しながら広工大に勝利。同じカードのこの日も、「集中力を切らさないで」「フライが多いからしっかり当てていこう」などと課題を探り、声を掛け合った。
同点劇のきっかけを作った山本君が次の主将になる予定だ。「頼もしい後輩たちに、来年は絶対に勝ち進んでほしいです」。3年生の自分たちと同じように悔しさをにじませる後輩たちを前に、最後は笑顔で思いを託した。(高橋俊成)