今春の統一地方選では、女性の新顔候補はどれくらい増えるかが注目されています。早くも街では、新顔候補たちのフレッシュな姿もちらほら。なぜ政治に関わろうと思ったのか。選挙に出ようとしたら、どんな壁が待ち受けているか。とある街で、初挑戦する女性が感じた「選挙」とは。
「センキョ?」
29日、まだ選挙の意味がわかっていない下の子と、「がんばって」と寝ぼけ眼で言う上の子を置いて、家を出た。午前8時半、選挙管理委員会の受付会場で、自分で届け出のくじをひく。選挙区内の掲示板にポスターを貼る場所が決まる。書類は、当日混乱しないように事前に審査を受けていたので、2分ほどで受理された。「七つ道具」と呼ばれる選挙運動中に使う腕章や旗などをもらい、外に飛び出した。
「け、県議会議員候補の……」と緊張はいなめない。それでも、「働く現役世代の声を届けます」「子供が保育園に入れずに苦労しました。次の世代には同じ思いをさせたくない」と訴えた。 寝ている赤ちゃんもいるかもしれないのに、うるさくないかな。そんな心配をしながら、少し遠慮がちにマイクを持って路地を回る。
企業に就職して結婚。子供2人を抱えて仕事を続けた。同期は先に昇任。「働きながら子育てできる環境が整うように世の中を変えていきたい」。そう思って地方議員を目指す。
県議選への立候補を決めて3カ月。告示日までの活動で、朝夕の駅前でのビラ配りも慣れた。道行く人には政策を訴えたりせず、マイクを使わずに「おはようございます」とだけ言う。昼間は政策を訴えるために民家を回ってビラを配ったり、支援者になってくれそうな人と面会をしたり。それらの活動予定や報告をネット上に書く。アダルト画像が貼り付けられたこともあるが、「そういうことはあるだろう」と思っていたので、気にはしない。
駅頭に立っていて、すれ違いざまに「じゃま」「大っ嫌い」と言われると、へこんだ。でも、いまは気を取り直すことはできる。
運動を手伝ってくれるのは、主に政策塾で知り合った人や、SNSでつながった人たちだ。ビラに載せるイラスト画を描いてくれた人もいる。でも、選挙区に住んでいないので、地域の有権者に声をかけて支持を広げることはできない。
夫は「できないならやめたら」
そんな中、「ママ友」の中から…