英国のメイ首相は2日、欧州連合(EU)との合意がないままEUを離脱する事態を避けるため、12日の離脱日の延期をEUに求める考えを示した。離脱条件を定めたEUとの協定案を英議会で可決しようと、与党内の強硬派を見限って最大野党・労働党の協力を仰ぐことも決断。今後の交渉の行方を野党の出方に委ねる形だが、局面の打開につながる保証はない。
メイ氏は2日、英国民に向けた緊急のテレビ演説を行い、「合意を得た上で離脱するのが一番で、そのためには離脱の最小限の延期が必要だ」と強調。「挙国一致が必要だ」とも語り、労働党のコービン党首と双方が受け入れられる離脱の方法を探り、10日のEU首脳会議までに英議会の承認をめざす考えも示した。
コービン氏は「首相の歩み寄りを歓迎する」と協議に応じる構えで、両者は3日にも会談する見通しだ。
労働党は、域内の取引で関税をなくすEUの関税同盟に残る案を選択肢とすることを求めている。関税同盟に残れば、EUと貿易上の緊密な関係を維持できる半面、英国の関税自主権は制限される。
メイ氏はこれまで、離脱したら関税同盟からも抜けると繰り返してきたが、英国内では、メイ氏が労働党の方針を受け入れざるをえないとの見方が強い。
意見の隔たりが大きい労働党に…