負動産時代
つくるのは簡単だが、こわすのは大変。それはマンションの宿命といえる。一度建ったマンションを建て替えたり、更地にしたりするには、所有者の大多数、場合によっては全員の同意が必要だからだ。
シリーズ「負動産時代」
築44年で老朽化が進み、所有者も散り散りになっていた新潟県湯沢町のリゾートマンション(リゾマン)が昨年取り壊され、更地として売却された。所有者全員が同意してのマンション解体は全国的にも珍しく、「奇跡的」ともいえる。売るに売れず、税金や管理の負担が重くのしかかる「負動産」の問題を長く取材してきた記者が、現地に向かった。
リゾマンの草分け
上越新幹線の越後湯沢駅から車で約30分。「マンション苗場」があった場所はいま、きれいな更地になっている。
全国屈指のスキーリゾートとして知られる苗場高原にこのマンションが建ったのは1975年。6階建て、40~50平方メートルの30部屋にレストランなどもあり、リゾートマンションの草分け的存在だった。その後、バブル期にかけてリゾマンが次々と建ち、そのバブルも崩壊したため、利用者は激減した。
管理費の滞納も相次ぎ、管理組合は機能不全に。2003年を最後に大規模修繕も行われなくなり、廃虚に近づいていった。
■立ち上がったオ…