負動産時代
平成が始まったころのバブルの時代。日本各地でリゾートマンション(リゾマン)が飛ぶように売れていた。週末や長期休暇に利用する「憩いの場」であっても、マンションである以上、月々の管理費はかかる。購入から年月がたち、所有者の高齢化や死亡によって使われなくなってくると、管理費の滞納が起こりがちだ。
シリーズ「負動産時代」
管理費の滞納が増えればリゾマンは管理不全になり、物件としての価値は下がり、さらなる利用者離れを招く――。多くのリゾマン物件がこうして「負動産」へと転がり落ちている。この悪循環を止めようと、滞納問題に立ち向かい、リゾマン再生に仕事人生をかけている男性が、新潟県湯沢町にいる。
バブルの果て
湯沢町のリゾマン管理会社エンゼルで管理部長を務める大野元さん(61)にとって、リゾマンの管理はすなわち滞納問題との戦いだった。
上越新幹線の駅もある日本有数のスキーリゾートとして、バブル期にリゾマンの建設ラッシュが起きた。町によると、1992年までに58棟の計約1万5千戸が供給された。
大野さんが7年がかかりで再生を手がけた「朝日プラザ・シェスタ苗場」もそんなリゾマンの一つだ。
完成はバブル真っ盛りの90年…