陸上の日本学生個人選手権(6月7~9日、Shonan BMWスタジアム平塚)で、関西学院大4年の石井優樹が男子5000メートルで2連覇を飾った。関東地区に有力選手が集まる学生の男子長距離界で、気を吐く関西のエース。実績を積み重ねることで、強かった「打倒関東」の意識がなくなってきたという。
昨年、13分45秒65の大会新で初優勝した5000メートル。石井は不安を抱えていた。3月に右足すね付近を疲労骨折。復帰戦となった5月の関西学生対校で5000メートル、1万メートルを制して2年時から3年連続の2冠を果たして復調を示したが、個人選手権の2日前に風邪が悪化してレース前日も未明までせきに悩まされていた。
「とにかく自分のペースで、と肝に銘じて。それが精いっぱい」という状況でスタート。ケニア出身の札幌学院大のローレンス・グレの速いペースに青学大・鈴木塁人、東海大・小松陽平が食らいつく中、石井は第2集団を保つ。鈴木と小松が集団に吸収され、グレを追って入った最終周、ラストスパートで一気に先頭に立って勝った。
倒れ込んでせき込みながら「去年がまぐれとか、いっときの人とかではないと証明できた」と石井。「自分はラストが強いと確認できた。これを生かせるように精進したい」。全国大会は自らの力を確かめる場で、「関東の選手と戦えるのは関西の選手としてはありがたいこと」と話した。
■「自分のレベルで」と…