米航空宇宙局(NASA)は27日、2026年にドローン型探査機「ドラゴンフライ」(トンボ)を打ち上げ、土星最大の衛星タイタンを探査する計画を発表した。到着は34年の予定で、タイタンに着陸後、飛び回って生命の痕跡を探す。
タイタンは重力が小さく、窒素が主成分の大気濃度は地球の4倍。これを利用し、探査には八つの回転翼がついたドローン型探査機を使う。ドラゴンフライはゴルフカートサイズで、175キロ以上移動でき、タイタン表面上の丘や、クレーターの底など複数の場所を探査することを目指す。
タイタンは太陽系で2番目に大きな衛星で、氷に覆われている。探査機カッシーニ計画の一環で、メタンに似た液体の炭化水素が雨のように降り、湖や川が存在することが確認されている。ブライデンスタイン長官は「タイタンは太陽系のほかのどの場所とも似ていないが、初期の地球にもっとも近い」と話す。ドラゴンフライは、大気や液体の成分や、生命につながる化学物質を調べる。
ドラゴンフライは、冥王星に接近した探査機「ニューホライズンズ」や、米国版はやぶさとも言われる小惑星探査機「オシリス・レックス」に続く、NASAの太陽系探査計画の一環。(マイアミ=香取啓介)