南米チリやアルゼンチンで2日(日本時間3日)、太陽が月に隠される「皆既日食」が見られた。皆既日食は2017年に北米で観測されて以来2年ぶりとあって、日本からも熱心な天文ファンが駆けつけた。
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皆既日食は、太陽と月、地球が一直線に並び、太陽が月に隠されて見える天文現象。米航空宇宙局(NASA)によると、今回は南太平洋から南米大陸にかけて皆既日食が見られ、太陽が最大で4分半隠された。現地の天文台がライブ中継したほか、日本からも複数のツアーが組まれた。
国立天文台によると、日本国内で皆既日食が見られたのは09年7月が最後。次回は35年9月に北陸から関東の一部で観測できる。
今年12月26日には金環日食がシンガポールやグアムなどであり、太陽が月に隠されてリング状になる。日本でも太陽の一部が欠ける部分日食が見える。(石倉徹也)
イースター島沖で撮影成功
南太平洋のイースター島沖を航行中のピースボート船上で、皆既日食が観測された。現地時間2日午前9時12分(日本時間3日午前2時12分)に太陽がかけ始め、皆既日食は10時34分から3分50秒間見られたという。
今回の皆既日食が見られる場所は、地上ではチリやアルゼンチンの一部、大半は南太平洋上という条件だった。約千人を乗せたピースボートの船は4~8月の地球1周の航海中で、南緯125度16分、西経21度11分でカメラマンの磯貝美輝さんが撮影に成功した。
船内講師「水先案内人」として乗船中の国立天文台の伊東昌市・特別客員研究員は「天気や雲の様子を数日前から確認し、雲間を狙って船を進めた」と話す。雲が少しかかったものの、コロナも観測され、皆既中は空が暗くなり、シリウスも見えたという。乗客たちも太陽が欠けていく様子をじっと見守り、「涼しくなるのを感じた。コロナもみられて感動した」と話していたという。(中山由美)