使い終わった衛星やロケットなど、地球の周りを漂う宇宙ゴミ(スペースデブリ)。衛星などへの衝突を防ぐため、地上からの監視に加えて、捕まえて落とす「除去」の研究が盛んになってきた。民間の実証衛星が来年打ち上がる予定だ。
デブリ接近連絡1日400件以上
15機の衛星を運用する宇宙航空研究開発機構(JAXA)。茨城県つくば市の追跡ネットワーク技術センターには連日、デブリ接近の知らせが届く。送り主は、約2万個のデブリを追跡している米軍連合宇宙運用センター(CSpOC(シースポック))。約1週間以内に衛星の近くを通過するという内容で、1日400件以上にのぼる。
この情報をもとにJAXAが軌道を詳しく計算。衝突確率が約0・001%以上なら「接近警報」に格上げする。衝突を避けるため、衛星の軌道を変えることもある。2018年度に出した警報は163件、実施した軌道変更は6件。世界では、国際宇宙ステーション(ISS)も含め、年間100件ほどの軌道変更がおこなわれている。
「ここ10年、デブリの監視なしには衛星の運用は成り立たなくなってきた。衝突したら最後という緊張感で当たっている。これからは監視だけでは間に合わなくなる」とセンターの中村信一主幹研究開発員は話す。
デブリの数は現在、地上で観測できる10センチ以上のものだけで約2万個。ほとんどが、地球観測衛星が多く飛び交う高度600~1000キロにある。1ミリ以上のものまで含めると1億個以上、総重量は7千トン以上といわれる。拳銃の弾丸の10倍以上にあたる秒速7~8キロで地球を周回し、小さくても衝突すれば故障や破壊を引き起こす。
デブリの数が一気に跳ね上がったのは07年。中国がミサイルで衛星を破壊する実験を行い、大量の破片が発生した。09年には、運用を終えて制御不能になったロシアの衛星が運用中の米商用衛星に衝突。デブリの衝突でデブリが増える悪夢が現実となった。今年3月にインドが踏み切った衛星破壊実験でも多くの破片が発生した。
除去実証衛星来年度打ち上げへ
大型のデブリは、大量の破片の…