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最後の夏に双子で1、2番 「つなぐ思い」で2人で好機

(6日、高校野球茨城大会 江戸崎総合10―1玉造工)


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部員10人で開幕戦に挑んだ玉造工で、双子の兄弟の栗又勇輔君(3年)と康輔君(同)が躍動した。


3点先行された三回裏。勇輔君が二塁打を放った。「康輔につなぐという思いだった」。五回には康輔君が中前安打を放ち、すかさず二盗を決めた。「今度は俺が、と思った」。チーム計4安打のうち2本を打ち、好機を作り出した。


小学5年の時、そろって野球を始めた。中学でも続けたが、中心選手だった兄の勇輔君に対し、弟の康輔君はほとんど試合に出られなかった。高校の入学式当日、2人は藤田満監督から野球部に誘われた。すぐに入部を決めた勇輔君に対し、康輔君は野球を続ける気になれなかった。


「野球に対するやる気は兄の方が上。向いてないんじゃないか」。2週間悩み、監督の熱意に押される形で入部を決めた。練習や試合でミスを繰り返す康輔君に、いつも最初に声をかけて励ますのが勇輔君。練習後も毎日、2人で素振りやキャッチボールをした。


藤田監督はこの日、並べて使ったことがない2人を、公式戦で初めて1、2番に抜擢(ばってき)。「チーム一まじめに野球に取り組んできた2人に賭けた」と話す。


試合後、2人に涙はなかった。勇輔君は「弟が盗塁を決めた瞬間は鳥肌が立った。一緒にやってきてよかった」。康輔君は「兄がいたから続けられたし、開幕戦という最高の舞台で戦えた。野球を続けたことは間違ってなかった」と、充実した表情で言った。(佐々木凌)


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