強打の土浦日大が再び頂点に立った。茨城大会は25日、ノーブルスタ水戸で決勝があり、土浦日大が6―1で第1シードの常総学院を下し、2年連続4度目の優勝を果たした。土浦日大は県勢102校98チームの代表として、8月5日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する全国選手権大会に挑む。
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「本物の自信」胸に夢舞台へ 土浦日大・富田卓投手(3年)
優勝までアウトひとつ。昨夏、なれなかった優勝投手は目前だ。でも、土浦日大のエース富田卓(3年)は一切表情を緩めない。
昨夏の決勝、自分たちが5点差から逆転勝ちしたことが頭に浮かんだ。「最後まで油断できない」。帽子を飛ばして投げた105球目で決着がついた。帽子を拾って上げた顔に、ようやく笑顔が浮かんでいた。
昨夏の決勝。エースとして先発した富田は四回途中6失点で降板。延長十五回の末に勝ったが、優勝投手はほとんど投手経験のない井上莞嗣(3年)に譲った。3―12と大敗した甲子園初戦でも5回4失点とチームを引っ張れなかった。
甲子園敗退後の9月、レギュラー5人が残る新チームで挑んだ秋の県大会は、明秀日立に0―16の五回コールド負け。「甲子園に行っただけで満足していた」。何となくの「自信」があるだけで、勢いに任せていた。甲子園で勝つためのチーム作りが始まった。
練習が変わった。「量」より「質」に重点を置いた。「野球は選手たちがやるもの」。小菅勲監督は自主性を重視し、選手らに練習メニューを決めさせた。「練習試合で体力のなさを感じたので、今日は投げ込みをします」「試合形式のノックをやろうと思います」。選手と監督の間でそんな会話が交わされた。
富田も監督に言われることなく体作りを課題に掲げ、自ら一日8食の食事を取った。わずか数カ月で体重は約10キロ増加。「速球を生かせる球が必要だ」と、変化球のツーシームも磨いた。「やりたいことを徹底できた冬」が、本物の自信を生んだ。
明秀日立、霞ケ浦、常総学院と好投手がそろう強豪校に投げ勝ち、看板の打撃に加えて投手力も印象づけた。昨年との違いと問われた富田は、「実力です」。今年は自信を持って、甲子園に行く。(笹山大志)