(8日、高校野球茨城大会 取手一16―2三和)
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五回表、14点を追う三和の攻撃。この回に得点しないとコールド負けになる。1死一塁の場面で、チーム唯一の3年生部員である主将の山口将矢君(3年)に打順が回った。「いつもホームランを打つ気でいます」。初球を思い切りたたき、右翼に安打を放った。山口君にとって、夏の大会での初ヒットとなった。
捕手としてチームを引っ張る。間中大介監督は「生徒会長も務め、野球以外でも頼りにされる存在」と信頼を寄せる。
一回の立ち上がり、投手の鈴木琉世君(2年)はなかなかストライクが入らない。マウンドに駆け寄り、「自信を持って、ミットめがけて投げてこい」と声をかけた。鈴木君は「あれで落ち着き、三振を取れるようになった」。
入部したときから同学年の部員は他にいなかった。この大会もバレー部やバスケット部の友人に助っ人を頼み、なんとか単独チームでの出場にこぎつけた。
「相談相手もいなくて辞めようと思った時期もあるが、3年間やりきったことは今後の自信につながると思う」
卒業後は救急救命士をめざす。「最後の最後にヒットも打てた。悔いはありません」と前を向いた。(谷口哲雄)