税関総署はこのほど上半期の対外貿易輸出入データを発表し、同期の対外貿易の状況を「全体として予想よりも好調だった」という表現で評価した。世界で唯一、新型コロナウイルス感染症が蔓延し続ける中で対外貿易の輸出がプラス成長を維持した国として、中国はこれほどの成果を上げるのは実に容易なことではない。「経済日報」が伝えた。
対外貿易の安定回復の勢いは続くだろうか。対外貿易企業はより多くの挑戦に立ち向かう準備をどのようにすればよいだろうか。4つのデータを通じて考えてみよう。
1つ目のデータは「4.3%」だ。これは今年6月の輸出増加率だ。感染症の影響で、第1四半期(1-3月)には中国の対外貿易が大幅に減少した。第2四半期(4-6月)になると、中国が世界の中で他国に先駆けて感染症を抑制し、企業活動・生産活動を全面的に再開するのにともなって、対外貿易輸出入が徐々に安定回復し、特に輸出は3ヶ月連続でプラス成長を達成した。輸出商品の品目をみると、防疫物資や「おうち経済」に関連した製品の輸出が急増したことが第2四半期の輸出回復を牽引した重要な要因となった。これは一方で、中国の対外貿易企業の市場に対する感度が高く、適応力が高いこと、対外貿易の産業チェーンとサプライチェーンが整い、外需市場の変化に素速く対応できることを物語る。また一方で、防疫物資が引き上げた輸出の伸びがこれからも続くかどうか、未来には大きな不確実性が存在することにも注意しなくてはならない。
2つ目のデータは「4.9%」だ。これは上半期の中国民間企業の対外貿易の増加率だ。上半期に対外貿易が全体として減少する中で、民間企業の輸出入は流れに逆らって増加し、対外貿易の成長の安定にとって突出した役割を果たした。データによると、現在中国の輸出入業務で実績のある民間企業は40万社を超えている。民間企業の数が増加を続け、貿易に占める割合も増加を続け、中国対外貿易の内側にある原動力の強さや発展エネルギーの強さを物語る重要な動きであるだけでなく、1つの側面から中国のビジネス環境が最適化を続けていることも反映している。しかし、「目下の民間企業の輸出増加のかなりの部分がこれまでの注文の処理と在庫の消化に集中しており、下半期は輸出市場の開拓を続けるだけでなく、輸出の国内販売への切り替えを模索することが民間企業が必ず直面する新たな命題になる」とする研究もある。
3つ目のデータは「5.6%」だ。これは上半期の中国-ASEAN間の対外貿易の増加率だ。ASEAN地域は感染状況が全体として相対的に落ち着いており、ここ数年は中国とASEAN各国との二国間経済貿易協力が深化を続け、電子機器受託生産サービス(EMS)を代表とする産業チェーン協力がより緊密化したことから、中国-ASEAN間の貿易の緩やかな増加には一定の必然性があったといえる。現在、ASEANは欧州連合(EU)に代わって中国の1番目の貿易相手先になり、この貿易局面の変化には、今は国際市場のニーズが引き続きある程度押さえ込まれていること、経済のコネクティビティが中国とASEANの経済貿易関係のより緊密な協調を駆動するとみられることが反映されている。ただASEAN市場を成熟した欧米市場と比べれば、今後のさらなる開拓が待たれる。
4つ目のデータは「26.2%」だ。これは上半期の中国越境ECの輸出入増加率だ。新しいタイプの貿易業態として、越境ECはオンライン取引、非接触型取引、短い取引チェーンといった優位性によって、急速な増加を実現するとともに、増加率は対外貿易全体の増加率を大幅に上回り、名実ともに対外貿易を安定に導く「機動部隊」になった。今年に入ってから、越境ECの輸出商品の「返品が困難」という問題が効果的に解決され、越境ECの輸出企業の「世界を売る」戦略も政策の後押しを受けた。未来には越境ECの優位性とポテンシャルがさらに開拓され、さらに発揮されると予想できる。
以上の4つのデータはそれぞれの角度から目下の中国対外貿易の発展の現状を描き出し、今後一時期の対外貿易の発展トレンドをある程度映し出すものだが、データは永遠に現実の発展の後で変化するものだ。現在、世界経済は深刻な衰退の中にあり、グローバル貿易には改善の基礎がなお存在せず、中国対外貿易の発展環境はさらに厳しく複雑なものになることが予想される。上半期の中国対外貿易は「懸念はあるが危険はない」状態だったが、「枕を高くして寝ていられる」状態にはほど遠く、これからも風雨の中を圧力をこらえながら前進することになる。このことを冷静に認識しなければならない。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年7月16日