子供たちが巻き込まれるサイバー犯罪が急増する中、NTTドコモ(東京都千代田区)など携帯電話各社が、出会い系、アダルト、薬物など有害サイトに子供がアクセスできなくする「フィルターリング(選別)」サービスの導入を進めている。パソコンに比べ、親の目が届きにくい携帯電話に、歯止めのための「ろ過機能」が追加されることについて、警察当局は「犯罪予防につながる」と歓迎している。
子供が使用するパソコンでは、市販のフィルターリングソフトを使用することで閲覧が制限できた。一方、携帯電話では、子供向けサイトだけ見られる機能はあったが、フィルターリングサービスは開発されていなかった。しかし、東京都が全国で初めて、すべてのインターネット接続事業者に同サービスの提供を義務付ける条例を制定し、施行が来月に迫ったこともありスタートした。
NTTドコモは(1)薬物売買など不法行為(2)軍事、ギャンブル(3)性行為やヌードの画像(4)恋人紹介など出会い系--などを閲覧できないアクセス制限機能を7月に導入。ボーダフォン(港区)も10月から、動画も送受信できる「第3世代携帯」に同様の機能を導入する。いずれも無料。
両社とも、警視庁から有害サイトの情報提供を受けているフィルターリングソフト開発・販売会社「ネットスター」(渋谷区)のデータベースに基づいてチェックする。「便利で楽しいだけでなく、安心して利用できる携帯電話を今後も提供していきたい」(NTTドコモ広報部)と話す。
インターネットの普及啓発に努める財団法人「インターネット協会」(港区)の国分明男副理事長は「携帯電話事業者が動き出した意味は大きく、全国に広がるだろう。今後は保護者がどこまで問題意識を持つかが課題となる」と話している。【合田月美】
2005年9月15日