フリーエージェント(FA)権取得で去就が注目されている西武・豊田清投手(34)が移籍を視野に入れ、4日にFA宣言することが3日、明らかになった。02、03年パ・リーグ最優秀救援投手に関してはストッパー不在に苦しんできた巨人が水面下で調査を続けており、獲得に乗り出すことは確実。交渉次第では西武残留の可能性もあるが、移籍決断の場合は原辰徳監督(47)率いる巨人が最有力候補となりそうだ。
ついに決めた。10月27日のFA申請解禁から8日目。ダイエー・城島や中日・野口ら有資格者が態度を明らかにしてきた中、最後に残されていた大物が権利行使という結論に達した。
申請書は4日、球団に提出する。豊田と親しい関係者によれば、本人は「FA権は野球選手の勲章。移籍するにしろ残留するにしろ権利を行使したい」と話したという。
悩み抜いた末の決断だった。「自分が活躍して伊東監督をもう一度胴上げしたい」と連覇を目指した今季。35試合で3勝1敗19セーブ、防御率3・97にとどまり、チームも3位に終わった。ロッテとのプレーオフ第1ステージは登板機会がないまま連敗。それだけに結論まで時間はかかったが、最終的には他球団の評価を聞いてみたいとの思いが勝った。ただ2度の交渉で残留を要請された西武にも愛着があり、FA宣言=移籍ではない。豊田は交渉を希望する全球団と話した上で残留も含めた結論を出すもようだ。
移籍となれば最有力先として浮上するのが巨人だ。既に中日からFA宣言した野口獲得に動いているが、必要な戦力は先発より抑え。今季もミセリや木佐貫が期待を裏切るなど、守護神不在は長年の課題だった。今季終盤に起用された林は秋季キャンプで先発へ配置転換。150キロ近い速球と切れ味鋭いフォークを操る豊田を獲得できれば、V奪回へ穴は埋まる。
地道な調査も続けてきた。7月に調子を落とし2軍で調整した時期もあった豊田だが、巨人は調整登板したイースタン戦4試合に編成担当を派遣。その後も密着マークで情報を収集し、来季以降の復活は可能と判断した。豊田が正式にFA宣言すれば、獲得に名乗りを上げるのは間違いない。原監督は「ルールにのっとって最高の補強をしたい」と2つしかないFA補強枠をフル活用する方針だが、場合によっては野口同様、説得へ直接出馬する可能性もある。
10月5日に行われた原監督の就任会見。滝鼻オーナーは「投手陣の強化が最大の課題」と厳命した。その実現には豊田獲得の成否が大きなウエートを占めることになる。