西武・福倉健太郎
■スコアの余白 番記者のつぶやき
危険球退場で巡ってきた緊急登板。2点本塁打を浴びて試合を7点差にされても、西武の4年目右腕・福倉健太郎(25)にとって、夢の時間がやってきた。
スコアの余白
2日のソフトバンク戦。五回1死一塁、川崎宗則を打席に迎えた。「本当に夢のよう」。初球は力んでワンバウンドさせてしまう。
ずっと待ち望んだ対戦。冷静にと言いきかせ、最後は外のスライダーで二ゴロに打ち取った。「野球をやってきて本当によかった、と思った一瞬でした」
ともに鹿児島出身。10歳の年齢差はあるが、同じ小、中学校を卒業した。オフに川崎が地元で開く野球教室に、毎年通っていた。
いつかプロ野球で対戦したい。その思いを胸に鹿児島・鹿屋中央高、第一工大で野球を続け、2013年秋のドラフト7位で西武入り。だが、海を渡り大リーグに挑戦した川崎は、日本球界にはもういなかった。
それでも努力を積み重ね、今季の開幕メンバー入りを勝ち取った直後、川崎の日本復帰が決まった。
試合前、川崎にあいさつに行った。「『あの野球教室からプロになってくれたんだ』と、喜んでくださって、うれしかった」
7日に2軍落ち。次の対戦はいつになるか、分からない。だが、空港で偶然再会した際、川崎から声をかけられた。「本当に頑張ってくれよ」。この言葉を胸に、また戦う日に向けて力を蓄えるつもりだ。(西武担当=松元章)