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プール事故:営業中止の判断別れ、混乱も 文科省調査

埼玉県ふじみ野市の市営プールで女児が死亡した事故を受け、全国の学校や公営プールを対象に文部科学省が行った緊急調査を受け、不備が判明したプールでは8日、急きょ営業を中止するところもあった。ただ、同省が各都道府県教委などに対して出した通知は、安全確保のための応急措置が取られた場合を除いて中止を求めるとの内容で、各プールで判断が分かれ、一部混乱したところもあった。

 福岡県の田川市民プールは営業するかどうかで判断が揺れ、訪れた約100人は約1時間にわたって入場を待った。吸排水口のふたが固定されていなかった同プールは8日朝、文科省からの通知を確認するため急きょ入場を一時停止した。

 その後、「ふたはボルトで固定されていないが、125キロの重さがあり、構造上安全と判断した」として、通常より1時間遅れの午前10時半、営業を始めた。入場口前に子供らが列を作り、「今日は開くの?」と尋ねる人もいた。

 東京都国立市の市民総合体育館屋内プールでは、底にある排水口2カ所の上ぶたがボルトで固定されておらず、8、9の2日間、安全点検のため臨時休業に。8日は団体利用者の貸し切りで、市内の4団体約200人がプールを使用する予定だったが、職員が責任者に連絡し、混乱はなかった。

 ただ、8日午後4~7時と9日は、個人利用者に開放される。男性職員は「休業を知らずに来る利用者もいるはずで、その対応に追われそうだ」と話した。

 一方、三鷹市の第二体育館屋内プールは、底に2カ所ある排水口のふたを固定しておらず、吸い込み防止金具も設置していないが、8日も営業を継続した。ふたは重みで枠に固定され、吸い込み口の口径も小さく、安全性に問題はないと判断したという。

 公営プールでの吸い込み防止金具設置率が73.3%と全国で最も低かった高知県。県教委は「防止金具がなくても安全だと、管理する市町村が勝手に判断していたようだ。今後は早急に対策を取るよう自治体に求めていく」と話した。

 小坂憲次文科相は8日の閣議後会見で「まだ集計中だが、予想を上回る不備が報告されてきたことは誠に衝撃であり、プールという人命にかかわる施設の管理について危険の認識に緩みがあるという印象を持った」と不快感を示した。

 ボルトやねじによる吸排水口のふたの固定と、吸排水管内への吸い込み防止金具の設置は、二重の安全対策として同省が毎年、都道府県教委などに通知で実施を求めてきた。【長尾真輔】

毎日新聞 2006年8月8日

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