「『大阪維新』という評価を後から受けるような知事の就任期間にしたい」。6日、大阪府庁に初登庁した橋下徹・新知事は職員へのあいさつで、決意を語った。初当選後、一挙一動に注目が集めているが、知事として向き合う課題は重い。危機的な財政をどう立て直し、大阪経済をどう再生させるのか。
橋下さんは午前9時半、濃紺のスーツに白いネクタイ姿で府庁正面玄関に到着。約300人の職員が拍手で出迎えた。約30社100人の報道陣に囲まれ、知事室の椅子に座ると「大阪を変えるという当初の思いを持ち続け、全力を尽くしたい」と表情を引き締めた。
午前10時から知事の引き継ぎ式に出席後、府議会議場で職員にあいさつ。「大阪を立て直すためには、今までと同じようなやり方を継続していては変わらない」と強調した。そのうえで「計画や根拠のない事業には、1銭たりとも支出しない」などと注文した。
さらに、「問題が起きた時の対応能力には、絶対的自信がある。隠すことは最悪だ。事実だけは直接知事室に報告してほしい。外部からの圧力、雑音はすべて引き受ける」などと、約30分間にわたって熱弁をふるった。
府議会のあいさつ回りで自民、公明は歓迎したが、民主の半田實幹事長は「今日からは発言に責任を持っていただきたい」。共産の宮原威・府議団長は「見直すべきは開発と同和事業。それだけの度胸があるか見ておく」とクギを刺した。
正午前、橋下さんは報道陣に感想を聞かれ「府庁正面に降り立った時、人生で体験したことのない感覚になり、体が震えた。自分の力で大阪を変えられるわくわく感かな」と声を上ずらせた。職員へのあいさつで「変える」という言葉を多用した点は、米大統領選に立候補した民主党のバラク・オバマ上院議員になぞらえ、「オバマさんも言い続けている。チェンジがはやりなのでは」と笑った。
正午過ぎからの臨時部長会議では「大阪を変えるために、僕と一緒に死んでもらう覚悟で」などと話した。【石川隆宣、犬飼直幸、大場弘行】