川崎汽船は2日、2020年3月期までの5年間の中期経営計画を発表した。設備投資を15年3月期までの5年間に比べて8割増の3300億円にする。鉄鉱石などの輸送に使うばら積み船など強みのある分野に重点投資する。
財務の安定性を示す自己資本比率は12年3月期に23%まで低下した後、15年3月期には36%に回復する見込み。有利子負債の削減を続け、18年3月期には40%に高める考え。4月1日に社長に就任する村上英三副社長は「財務規律を維持しながら成長分野に投資する」と語った。
ばら積み船では「ケープサイズ」と呼ぶ大型船や国内の発電用石炭向けなど長期契約が見込める分野を中心に投資する。ばら積み船の運賃は中小型船を中心に歴史的な安値圏にあるが、「18~19年には回復する」(村上氏)とみる。
コンテナ船では約1000億円を投じて18年までに10隻の大型船を導入する。全体の隻数は絞り込んで運航効率を上げる。15年3月期見込みで480億円の連結経常利益を20年3月期には850億円に高める。
株主配分の方針も新たに決めた。同社は10年3月期と12年3月期に無配に陥ったが、今後は業績不振時でも「年4円を目安に安定配当する」(村上氏)。連結純利益が200億円を超える場合は、超過分の3割を株主配分に回す方針だ。