日銀が10日発表した2月のマネーストック(通貨供給量)速報によると、代表的な指標の1つである「M3」(現金、銀行などの預金)の平均残高は、前年同月比2.9%増の1206兆7000億円だった。株式の売却で預金や現金が増えたことが寄与し、伸び率は前月(2.8%増)から拡大した。現金通貨は3.9%増と、同統計で比較可能な2004年4月以降で最も高い伸びとなった。
M3の内訳を見ると、預金通貨は5.0%増となり、前月(4.6%増)から伸びが拡大した。株高の局面で個人を中心に利益確定売りが多かったことが影響した。同様に現金通貨も高い伸びとなった。調査範囲がやや異なる前身のマネーサプライ統計を含めると03年11月(4.1%増)以来の伸び率となった。
M3からゆうちょ銀行などを除いた「M2」は3.5%増だった。
M3に投資信託や国債など貨幣に比較的近い金融資産を加えた「広義流動性」は3.5%増と、伸び率は前月から0.1ポイント拡大した。個人向け国債の償還超が続いているものの、不動産投資信託(REIT)を中心に投資信託が伸びたことが寄与した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕