群馬大病院での肝臓の腹腔(ふくくう)鏡手術で患者8人が死亡した問題を受け、日本肝胆膵外科学会は23日、手術実績の多い全国約200施設を対象にした調査結果を公表。胆管切除を伴う肝臓切除を受けた患者の9.76%が死亡するなど、術式によっては死亡率が高いことを確認したと発表した。
保険適用外の高難度の腹腔鏡手術をしている施設のうち55%が倫理委員会の承認を受けていないことも判明、術式ごとに倫理審査を踏まえたうえで実施を慎重に判断するよう注意を呼び掛けた。
調査は学会が訓練施設と定めた212施設を対象に1月に報告を求め、207施設から回答があった。学会理事長を務める千葉大の宮崎勝教授らが、2011~14年に実施した肝臓、胆道、膵臓の腹腔鏡手術の症例数や術式別の死亡率などを集計し発表した。
消化器外科分野の手術成績をめぐっては、日本外科学会と日本消化器外科学会などが11~13年に集積された全国2336施設の情報を分析し、肝臓切除手術は2万3489例あり死亡率は3.69%、そのうち腹腔鏡手術は約5%を占め、死亡率は2.27%だったとの結果を1月に公表している。〔共同〕