2006年10月に北アルプス白馬岳(2932メートル)で福岡、熊本両県の登山ツアー客4人が悪天候の中で遭難、死亡した事故で、長野地裁松本支部は20日、ツアーを引率し、業務上過失致死罪に問われた福岡県大牟田市の山岳ガイド、田上和弘被告(57)に禁錮3年、執行猶予5年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した。
本間敏広裁判長は判決理由で「前日に天候悪化が予想できる気象情報が出ていた。登山客の装備は不十分で登山開始時から雨も続いており、凍死する恐れがあることを山岳ガイドとして予見できた」と指摘。
その上で、自己の知識、経験を過信して安易に引率を続け、避難小屋に引き返すなどして事故を未然に防ぐ注意義務を怠ったと述べた。
弁護側は「事故の原因は突然の暴風雪。被告は事故前日に天候回復が予想できる天気予報を見ており、急変は予測できなかった」と無罪を主張していたが、「そのような気象情報が流れていたとは認められない」と退けた。
判決によると、事故は06年10月7日に発生。富山県黒部市の祖母谷温泉を出発し白馬岳の山小屋に向かう途中、熊本市の渡辺和江さん(当時61)と熊本県大津町の小場佐香代子さん(同53)、福岡市城南区の古賀利枝さん(同66)、純子さん(同61)の姉妹を強風や吹雪のため凍死させた。〔共同〕