日銀は30日開いた金融政策決定会合で、年間80兆円の資金を供給する現状の金融緩和を継続することを賛成多数で決めた。雇用や賃金の回復などを背景に物価は上昇基調にあると判断した。原油安の影響で足元の物価上昇率は0%近辺にあるが日銀は秋以降、目標とする2%へ向け再加速するとみている。
黒田東彦総裁が政策の現状維持を提案し、政策を決める9人のうち8人が賛成した。日銀はこれまでの金融緩和がデフレ脱却に向けて効果を発揮していると判断している。
午後3時には「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2015~17年度の物価見通しなどを示す。15年度は原油安の影響で1%弱にとどまるが、16~17年度は2%程度とする公算が大きい。
ただ夏場にかけては物価上昇率がマイナスに陥る可能性もある。現時点では日銀は物価の鈍化は一時的なものであり、基調を崩すものではないとみている。次回以降の会合で、足元の物価の鈍さが人々が思い描く物価見通しに影響を与えないか慎重に検討する。
30日午後に黒田総裁が記者会見し、今後の物価見通しと政策の運営方針を説明する。