日光の紫外線に当たると皮膚障害を起こすポルフィリン症が、国の医療費助成の対象となる「指定難病」に認められた。根治療法も薬もなく、患者は常に太陽を避けて生活しなくてはならない。早期指定を切望してきた患者の池谷鉄兵さん(27)は「病気への理解と潜在的な患者の発見につながれば」と期待している。支援組織は学会を創設する予定だ。
発病の仕組みや治療法が解明されていない指定難病は昨年、従来の56疾患から110に拡大された。ことし3月にはポルフィリン症など196疾患が2次選定分として新たに加わり、国は7月の助成開始を目指す。
支援組織「全国ポルフィリン代謝障害友の会」(東京)によると、国内の潜在患者は1万人と推計されるが、診断された患者は千人程度。専門医は10人弱で、約80%の確率で皮膚の過敏症などと誤診されてしまうという。
愛知県の病院でソーシャルワーカーとして働く鉄兵さんと、今月から島根県で勤務する弟の栄治さん(24)は小学生のころ相次いで発症したが、診断までに3~4年かかった。鉄兵さんは「指定により医師の理解も進んで、長い空白期間がなくなってほしい」と語る。
2人は現在も日焼け止めクリームを多用したり、外出の際に帽子やマスクを使用、体全体を衣服で覆ったりする生活を送る。2009年に鳥取県境港市で設立された兄弟の支援団体は友の会と協力して、約60万人分の署名を集めて国に難病指定の請願を続けてきた。
団体の堀冨美代表(77)は「体を覆うため、不審者のように見る人がいる。世間の理解を得るのが2人を救うことだと思った」と振り返る。
友の会の近藤雅雄代表(65)は指定を受け、患者と研究者からなる学会を創設する予定だ。「遺伝子治療や再生医療など治療法の解明に弾みがつくことを願う」と話した。〔共同〕