アフリカのエチオピアにある350万~330万年前の地層から、新種の猿人の化石を発見したと、米クリーブランド自然史博物館などのチームが28日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
ルーシーの愛称で知られるアファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)のすぐそばで同時期に生息していたとみられ、チームは「同時期に少なくとも2種が共存しており、アフリカ東部における初期人類の多様性を裏付けた」と主張している。一方、専門家からは新種と判断するのは早計だという指摘も出ている。
チームはエチオピア北部のアファール州を発掘し、ルーシーの化石が発見された場所から約35キロの地点で、上下の顎や臼歯など複数の歯を見つけた。分析した結果、歯の大きさや形にアウストラロピテクスの特徴を持っているものの、顎の骨の頬に近い部分の形状などに違いがあることから、新種と判断した。現地の言葉で「近縁の種」という意味を持たせ「アウストラロピテクス・デイレメダ」と命名した。
論文を紹介するネイチャー誌の記事によると、アファール猿人は370万~300万年前にこの地域に生息した。異なる2種の猿人がどうやって長期間共存できたのかは謎で、食べ物の違いや集団での移住などが考えられるが全く不明だとしている。〔共同〕