【ソウル=小倉健太郎】韓国検察当局は2日、前首相の辞任につながった不正資金問題に対する捜査結果を発表した。疑惑を提起された8人のうち李完九(イ・ワング)前首相ら2人を在宅起訴する。李丙琪(イ・ビョンギ)大統領秘書室長ら6人は嫌疑なしなどと判断。朴槿恵(パク・クネ)政権への影響は限定的だ。野党は捜査が不公正だと反発している。
検察によると李前首相は国会議員再選挙の候補者だった2013年4月、不法な政治資金3千万ウォン(約330万円)を当時の建設会社会長(その後自殺)から受け取った。李氏は4月に首相辞任を表明した際も「真実は必ず明らかになる」と疑惑を否定していた。洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶尚南道知事は11年に1億ウォンを受け取った。
朴大統領の側近はすべて訴追を免れた。06年に10万ドルを受け取った疑惑がある金淇春(キム・ギチュン)前大統領秘書室長は、時効が過ぎたとして検察は事実認定も避けた。一方で、8人以外に故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の兄も盧政権時代に不正資金を受け取ったと指摘したうえで時効で不起訴とした。
盧政権の流れをくむ最大野党、新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表は捜査が十分でないとして「いまの検察は権力のために存在していることが明らかになった」と批判。政権から独立した人物を特別検察官に指名しての再捜査を要求した。
不正資金疑惑は4月、自殺した建設会社前会長のポケットから朴政権幹部ら8人の名前と金額を書いたメモが見つかったことで浮上した。8人には朴氏が当選した12年の大統領選で朴氏陣営幹部を務めた人物らも含まれる。疑惑がすべて事実なら朴政権にとって大きなダメージになる可能性があった。