【ワシントン=川合智之】オバマ米政権は移民制度改革の大統領令に対する差し止め命令に対し、連邦最高裁に上訴する方針を決めた。オバマ大統領の目玉政策だった移民制度改革は野党・共和党などが反対し、一部の州で差し止め訴訟が起きていた。来年11月の大統領選でも争点となりそうだ。
移民制度改革は不法移民の親が強制送還されて子供と引き離されるのを防ぐため、一部の強制送還を猶予する措置。オバマ氏は昨年11月、約1100万人の不法移民のうち約500万人の一時滞在を認める大統領令を出したが、26州が大統領権限を越えているとして差し止め訴訟を起こした。
テキサス州連邦地裁は2月に一時的な差し止め命令を出し、ニューオーリンズ州連邦高裁が9日に同命令を支持する判断を下した。アーネスト大統領報道官は10日の記者会見で「国家安全保障の利益にならないのは明らかだ」と差し止めを批判し、司法省が近く最高裁に上訴すると述べた。早ければ来年6月にも最高裁が最終判断を示す見通しだ。
大統領選で多くの共和候補は不法移民に否定的な見解を示す。不動産王ドナルド・トランプ氏はメキシコ移民が「麻薬や犯罪を持ち込んでいる」と主張している。