夫婦の同姓義務や女性の再婚禁止期間を巡る民法の規定が憲法違反かどうかが争われた2つの訴訟の判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、夫婦別姓を認めない規定は合憲、女性は離婚後6カ月以降でないと再婚できないと定めた規定は違憲との初判断を示した。姓を巡る制度は「国会で議論されるべきだ」と指摘した。
再婚禁止期間訴訟の大法廷判決を受け、笑顔で「違憲判決」の垂れ幕を掲げる作花知志弁護士(中央)ら(16日午後、最高裁前)
大法廷は判決理由で、夫婦の同姓義務について「姓の変更を強制されない自由は憲法が保障する人格権の一部にはあたらない」と指摘。さらに「民法の規定は夫婦がいずれの姓にするかを当事者間の協議に委ねている。規定自体に男女の不平等が存在するわけではない」と判断した。
結婚によって姓が変わる女性については「アイデンティティーの喪失感など不利益を受ける場合が多いと推認できる」と認める一方で「通称使用が広まることで一定程度は不利益が緩和される」とした。
そのうえで、姓を巡る制度について「結婚制度や姓のあり方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、国会で論ぜられ判断されるべき事柄だ」と言及。根本的な議論をするよう国会に注文を付けた。
再婚禁止期間については、判決理由で「100日を超える部分は違憲」と指摘。ただ100日までの再婚禁止期間は「父子関係を早く確定して、子の法的な身分を安定することは重要であり、合憲だ」とした。
民法規定の改正をしなかった国に対する損害賠償請求は「違憲であることが明白だったとはいえない」として退けた。