慶応義塾大病院は25日までに、大病院でもなかなか病名が特定できない難病を血液で診断する「未診断疾患外来」を来年1月に新設すると発表した。iPS細胞の研究情報を提供する「iPSコンサルテーション外来」も別途開設する。
従来の検査で原因不明とされる患者でも、遺伝情報を詳細に解析すると、DNA配列の異常が見つかって病名がわかるケースがある。未診断疾患外来はかかりつけ医から相談を受け、患者の症状や検査結果などをもとにDNA分析が有効かどうかを検討する。
有効と判断した場合にだけ受診を受け付けて採血し、4~5カ月後に結果を知らせる。今年約100人の未診断患者のDNAを分析したところ、3割程度で診断がついたという。
iPSコンサルテーション外来は、遺伝性のアルツハイマー病など有効な治療法がない14の難病を対象にする。かかりつけ医を通じて慶大病院の担当医師チームに相談し、受診が有用と判定されれば説明を受けられる。
iPS細胞を使った難病治療への関心が高まっているが、研究情報を提供する場がこれまでなかった。このため実際に研究する医師が説明する場として外来を設けることにした。将来は患者のiPS細胞を作って、細胞の性質などを研究することも検討している。