(5日、巨人4―2広島)
顔が赤くなり、眉間(みけん)にしわが寄った。七回に2ランを浴びた直後。巨人の菅野は、自分自身に腹が立っていた。「きれいに決めてやろうと、欲を出してしまった。冷静さも欠いていた」。クールな右腕が珍しく感情をあらわにした。
「圧倒」をテーマに掲げて臨んだ今季。勝つだけでは満足できず、「1点もやらない」と開幕から飛ばした。4月は2試合連続完封など4試合の33回を投げて防御率0・00。この日もリーグ一のチーム打率を誇る広島打線を六回まで1安打に抑えた。だからこそ、カウント2―2からの内角への失投が歯がゆかった。
自責点0は40イニングで止まったが、菅野は鬼気迫る表情で怒りを力に変えた。次打者を三振に取ると、八、九回も走者を背負いながらも粘り、完投で無傷の4勝目を手にした。