完封勝利した日本ハムの大谷=白井伸洋撮影
(28日、日本ハム1―0西武)
日本ハム4年ぶりリーグ優勝 大谷15奪三振、完封
大谷翔平、先輩「雄星さん」に投げ勝ちV 花巻東対決
1球、また1球と投げ込むたびに、優勝が近づいてくる。「自分のなかではこみ上げてくるものがあったけど、常に冷静だった」。日本ハムの大谷は、どこまでも淡々と、直球とスライダーを投げ続けた。
立ち上がりから、ボールは低めに集まっていた。一回を三者凡退で打ちとったあと、気づく。相手は、早いカウントから振ってきていた。「追い込まれるのを、相当嫌がっていたんで。追い込んでからは二つ(の球種)で十分だな、と」
五回、61球目を森に右前へはじき返された。初安打を許しても、動じない。続く中村は159キロ、栗山はスライダーで連続空振り三振。「こんなに思ったようになったのは、まれ」と、捕手の大野もうなった。
特別なマウンドだった。「雄星さんでしたし」。菊池雄星。母校、花巻東の3年先輩だ。同じ岩手出身の菊池が甲子園で活躍する姿を見て、大谷は同じ高校に進もうと決めた。いつまでもあこがれの存在だ。
その菊池と、優勝のかかった試合で投げ合える。試合前、厚沢ベンチコーチが「きょう、大丈夫か」とたずねると、こう返した。「こんな最高の舞台を用意してくれて、ありがとうございます」。幸せだった。
自身も持つ球団記録にあと1個と迫る15奪三振での1安打完封に、「投手に復帰して4試合目であれだけのピッチングをするなんて思っていなかった」と栗山監督。打者としては3割20本塁打100安打、投手では2桁勝利。投げて打って、二刀流・大谷は、グラウンドを支配した。(山下弘展)