トヨタ自動車は１１日、２０１７年３月期の利益が大幅に落ち込むとの見通しを発表した。本業のもうけを示す営業利益は前年比４０・４％減の１兆７千億円と見込む。減益は５年ぶりで、円高による押し下げが響く。同時に発表した１６年３月期決算は過去最高益を更新したが、伸びは小幅。アベノミクスによる円安効果で景気回復のエンジンとなってきたトヨタの好業績は、曲がり角を迎えている。

企業決算

１７年３月期の最終的なもうけを示す純利益は同３５・１％減の１兆５千億円、売上高は同６・７％減の２６兆５千億円と予想。グループの世界販売台数は微増の１０１５万台を計画する。

為替レートの想定は年明け以降、円高が進んでいるのを受け、前年より１５円円高の１ドル＝１０５円に見直した。為替変動の影響で利益が９３５０億円減り、約１・２兆円にのぼる営業利益の落ち込み分の大半を占める見通しだ。

一方、同時に発表した１６年３月期決算では営業利益が前年比３・８％増の２兆８５３９億円、純利益は同６・４％増の２兆３１２６億円で、過去最高を３年連続で更新した。昨年末までの円安やコスト削減で利益を小幅ながら伸ばした。売上高は同４・３％増の２８兆４０３１億円だった。

世界販売台数は１００９万台。前年をわずかに下回ったものの、３年連続で１千万台を超え、メーカー別で首位に立った。傘下の愛知製鋼で今年１月に起きた爆発事故の影響で約９万台の生産が遅れたが、その損失は６００億円で影響は限定的だった。

トヨタは東日本大震災以降、円安効果で急速に業績を伸ばしてきたが、経営環境は追い風から向かい風に反転している。豊田章男社長は記者会見で「今年に入り、大きく潮目は変わった。チャレンジを進める機会にしたい」と語った。（友田雄大）