神奈川県葉山町で昨年8月、海水浴帰りの人の列に車が突っ込み、1人が死亡、2人が重傷を負ったひき逃げ事件で、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた近くの会社員、稲葉竜也被告(20)の初公判が16日、横浜地裁であった。稲葉被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、稲葉被告が事故直前、近くの海岸で友人と缶ビールなどを飲んだと指摘。事故後、自宅で発泡酒を飲み、事故時は飲酒運転ではなかったと偽装を図ったと主張した。ただ、検察は道交法違反(酒気帯び運転)容疑について、不起訴処分(嫌疑不十分)にしている。
弁護側は事故前の飲酒を認め、「被告は飲酒運転で重い罪に問われるのが怖くて逃げた」としたが、自宅まで運転していることから、「飲酒の影響は決定的とは言えない」と主張した。
起訴状などによると、稲葉被告は昨年8月23日午後5時過ぎ、制限速度40キロの県道で、時速約78キロで車を運転し、道路左側を歩いていた女子大学生(当時23)をはねて死亡させたほか、男女2人に重傷を負わせて逃げたとされる。