1人区での各党の支持率は…
自民、公明の与党で改選議席の過半数を占める勢いで、おおさか維新、日本のこころを加えた改憲4党でも参院全体の3分の2の議席をうかがう。朝日新聞社の参院選序盤情勢調査をみると、民進、共産などの野党4党がすべての1人区に統一候補を立てたことで自民候補と互角以上に戦う選挙区も少なくないが、「自民1強」を打ち崩すまでには至っていない。
安倍政権で改憲、反対48%賛成31% 朝日・世論調査
特集:2016参院選
朝日・東大谷口研究室共同調査
参院選の勝敗を左右する32の1人区のうち、自民は20選挙区でリード。野党統一候補がリードする8選挙区を大きく上回る。
31の1人区で29勝した前回の2013年、27の1人区で25勝した「小泉旋風」の01年ほどではないものの、北関東や北陸、中国地方ではすべて先行している。
1人区で野党が統一候補を立てても自民候補が優勢の選挙区が多いのは、そもそも支持層の厚みが他の政党を大きく上回っているからだ。1人区では自民の支持率が34%に上り、公明の3%を合わせると4割近い。一方、民進(10%)や共産(3%)、社民(1%)、生活(0%)の支持率を足し合わせても14%に過ぎない。今回も低い投票率が見込まれるなか、分厚い支持基盤を固めれば当選する可能性が高くなる。
自民は、複数区でも有利な戦いを進めている。
すべての複数区で自民候補は優位に立ち、議席を確保する情勢だ。加えて、北海道(改選数3)、千葉(同3)、神奈川(同4)、東京(同6)の各複数区では推薦候補も含めて候補者を複数擁立したが、こうした積極策も功を奏し、千葉や東京などで複数の議席を獲得する可能性がある。
千葉では、現職の猪口邦子氏が先行しているほか、新顔の元栄太一郎氏もややリードしている。東京は、現職の中川雅治氏と新顔の朝日健太郎氏がともに優位に立っている。
また、比例区で自民は前回、01年に次ぐ18議席を獲得したが、今回も前回並みの議席を確保する勢いだ。
こうした自民の堅調ぶりの背景には、野党が政権の批判票の受け皿になっていないこともある。
情勢調査と同時に実施した世論調査で安倍晋三首相の経済政策について尋ねると、「成功している」は4%、「どちらかといえば成功している」は42%で計46%。「失敗している」は12%、「どちらかといえば失敗している」34%の計46%と拮抗(きっこう)している。
このうち「成功派」の比例区投票先は自民が68%を占め、「失敗派」でも自民に投票すると答えた人が26%で、民進に次いで多かった。安倍政権のもとでの憲法改正に「反対」という人でも、比例区投票先に自民を挙げたのは29%を占めた。
このほか公明が選挙区で改選議席よりも議席を増やす情勢になっている。近畿で高い支持を持つおおさか維新も改選議席の2から議席を増やしそうなこともあり、改憲4党の「3分の2」が現実味を帯びている。