親族が乳がんや卵巣がんにかかり、自身も発症した患者ら827人を調べたところ、遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)を示す遺伝子変異が約20%で見つかった。診断・治療に携わる医師らでつくる日本HBOCコンソーシアムが調査した。変異発見率は米国の十数%より高く、検査を受けるか相談できる遺伝カウンセリングの態勢充実が求められる。
BRCA1、BRCA2という遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんのリスクが高まる。昭和大病院、聖路加国際病院、がん研有明病院(いずれも東京都)と星総合病院(福島県)の4施設で、2012~14年の3年間に、親族に乳がんなどの経験があり自身も発症した患者らで、親族関係のない827人が遺伝子検査をした。
その結果、165人で遺伝子変異が確認され、発見率は約20%だった。血縁者らも加えた986人では約250人(約25%)で変異が見つかった。発見率が増えたのは、変異があった患者の血縁者が多く検査したためとみられる。1千人規模のHBOC遺伝子検査の集計は日本では初めて。