裏山が崩れ、住宅は土砂や樹木で押しつぶされていた=28日午後4時すぎ、姶良市蒲生町北
鹿児島県内は28日、九州付近に停滞した梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、各地で大雨に見舞われた。霧島市牧園町に設置された県の雨量計では1時間あたり85ミリの猛烈な雨を観測。姶良市蒲生町では裏山が崩れて住宅1棟が全壊し、女性(52)が意識不明の重体になった。
姶良署などによると、土砂崩れは28日午後2時ごろに発生。全壊した住宅に住む女性のほか、自力で脱出した姉(54)が右足に軽傷を負った。
近くに住む久富木親(ちかし)さん(86)は「ドスン、バリバリ」という音を聞き、「雷とは違う」と思い外に出たところ、コンクリートで補強されていた山の斜面の上部が崩れ、土砂や樹木が住宅に覆いかぶさっていた。
崩れた家から自力で脱出した姉は、足を引きずりながら久富木さんの家まで来て、「妹を助けて」と叫んでいたという。久富木さんによると、2人は山から濁り水が出ているのに気づき、車で逃げようとしたが、間に合わなかったという。
鹿児島地方気象台によると、同日夕に薩摩川内市入来町で1時間あたり69ミリ、3時間で122・5ミリの降水量を観測。ともに6月としては観測史上最大の雨量だった。また、27日朝の降り始めから28日午後4時までの総雨量は、鹿屋市下高隈町で292・5ミリ、薩摩川内市入来町で247・5ミリに達した。
県危機管理防災課によると、この雨で垂水市は同市牛根二川地区の38世帯70人に避難勧告を出し、姶良市や鹿屋市でも避難準備情報が出された。