日米欧の金融市場で長期金利が過去最低を更新した。英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けた世界経済の先行き懸念で、比較的安全な資産とされる国債にお金が集まっている。6日の東京債券市場では、長期金利の代表的な指標である満期10年の新発国債の流通利回りが一時、前日より0・020%幅低い(価格は上昇)マイナス0・275%をつけ、過去最低を更新した。
満期20年の国債の利回りも一時、マイナス0・005%と初めてマイナスとなった。
前日には、満期10年の米国債の利回りも一時、1・357%にまで下がり、4年ぶりに過去最低を更新した。ドイツ国債の利回りも一時、マイナス0・185%近辺と過去最低を記録した。
イタリアの銀行の経営不安が高まったり、英国の不動産ファンドが取引を停止したりするなど、英国がEU離脱を決めた影響が出ており、投資家のリスク回避の姿勢が強まっている。
先行きへの不安から、日本や欧州でいずれ追加の金融緩和に動くとの思惑や、米国の利上げが遠のくとの観測も市場では広がる。債券価格の上昇期待が高まって国債買いに拍車をかけている。「再び世界経済のリスク要因が意識され、国債に資金が集まっている」(大手証券)との声が出ている。
6日の東京株式市場では売り注文が膨らみ、日経平均株価は一時前日終値より500円超値下がりした。株式から債券にお金が流れている。午後1時時点では、前日終値より388円66銭安い1万5280円67銭。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は、同29・43ポイント低い1227・21。午前の終値は、前日終値より463円03銭(2・96%)安い1万5206円30銭。TOPIXは同35・78ポイント(2・85%)低い1220・86だった。