昭和シェル石油との合併をめぐって出光興産の経営陣と創業家が対立している問題で、出光興産の大株主で公益財団の出光美術館が、株主総会での議決権行使に支障が出ないよう定款を変更していたことがわかった。創業家の出光昭介名誉会長が美術館の理事長を務めており、合併承認を求めて開かれる年末の臨時株主総会で、反対票を投じやすくする狙いがある。
創業家側は出光株を計33・92%持ち、うち美術館が5%を保有する。美術館の定款には「配当の受領などを除いて、株主としての権利を行使しない」とする条項が含まれていたが、4日付で削除した。
ただ、美術館側は6月28日の株主総会で代理人弁護士に議決権の行使を委任し、月岡隆社長ら取締役10人の再任に反対している。弁護士は「財団の意思決定の手続きを踏んで反対票を投じた。今後を考え、念のために定款を変えた」と話す。
一方、経営陣側は公益財団は議決権を行使できないとの立場だ。月岡社長は11日に創業家側と会談するが、定款変更の経緯も確認するとみられる。(米谷陽一)