「時をかける少女」(C)KADOKAWA
角川映画が40周年を迎え、大規模な回顧上映会が各地で開かれる。角川書店(現KADOKAWA)が「犬神家の一族」で、低迷する映画界に道場破りのごとくに参入したのが1976年。以来、「セーラー服と機関銃」「蒲田行進曲」「麻雀放浪記」など話題作を次々発表し、業界の旧弊を打破して、現在の日本映画の形を作り上げた。そんな角川映画の功と罪とを探った。
映画に合わせ、原作本のフェアを催し、テレビCMのシャワーを浴びせて主題歌をヒットチャートに乗せる……。「若者たちに話したら、昔は違っていたんですかと聞き返されました」と評論家の中川右介さんは笑う。メディアミックスと呼ばれる宣伝は今や常識だが、戦略的に使い始めたのが角川春樹社長(当時)率いる角川書店だった。
従来の宣伝は新聞広告が中心で、あとは映画館があるだけ。「角川は書店を映画宣伝の場に変えた。本の宣伝だから経費がかからない。コロンブスの卵です。今はコンビニが宣伝の場になったが、先駆けと言える」(中川さん)
初期の角川映画は「人間の証明…