イスラエル・テルアビブで4日夜、広島での被爆体験を語る平田道正さん=渡辺丘撮影
原爆の惨禍から71年になるのを前に、事実上の核保有国とみられているイスラエルのテルアビブで4日夜、核兵器の悲惨さを考える集会が催され、広島で被爆した平田道正さん(80)=東京都=が核兵器の恐ろしさを切々と訴えた。
特集:核といのちを考える
平田さんは9歳の時、爆心地から2キロの自宅で被爆した。白血球が少なく、感染症にかかりやすかったという。「放射能は色もにおいもないが、最も恐ろしい。71年たっても影響が続く」などと英語で語った。
集会は地元の軍縮団体が主催し、約40人が参加した。オバマ米大統領が5月に広島を訪問したことへの受けとめを聴衆から質問され、平田さんは「多くの被爆者は謝罪を求めておらず、将来の世代のために核廃絶を進めてもらいたいと考えている」と答えた。
イスラエルの核兵器保有は公然の秘密だが、団体責任者のシャロン・ドレブさん(46)は「(核廃絶に向けた)議論がない。中東で核軍拡競争が起きる恐れがある」と指摘。祖父がホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者という参加者の女性(20)は「トラウマの経験を伝えようとする姿勢に敬意を覚えた」と話した。(テルアビブ=渡辺丘)