マウンドで中野を励ます明徳義塾の捕手古賀(右)=本康弘撮影
(16日、高校野球 明徳義塾13―5嘉手納)
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アルプス席に指笛が鳴り響く。初出場で初戦に大勝した嘉手納は、選手も応援席も勢いに乗る。受けて立つ明徳義塾のバッテリーが、淡々と抑えていった。
エース中野の直球の球速は130キロ台前半。驚くような変化球もない。それでも打ち取る方策を捕手の古賀は言う。「投手有利のカウントに持っていくこと。どうやって1ボール2ストライクに追い込むかです」
1年秋から背番号2を背負う。選抜も合わせると甲子園は3回目。だが、過去2回は初戦負けで怖さを知った。「甲子園はデータが通用しない」。この夏、打席の相手をよく見るようになった。打者の足元、スイングに目をこらす。「頭のデータと合わせて配球を考える。観察力が上がってます」。この試合、嘉手納の打者が変化球狙いに変わったと感じ、中盤から直球を決め球に変えて奏功した。
七回には2番手で横手投げの林田、八回途中からは3番手の金津が登板。タイプが違う3投手を操った。そして、3年ぶりの8強入り。打撃でも3安打と気を吐いたが、「打線は水物。守り勝つ野球を続けたい」。頼もしい守りの要が強豪の進撃を支えている。(波戸健一)