両手に拳銃を持って立てこもる溝畑容疑者=31日午前5時19分、和歌山市塩屋1丁目
和歌山市塩屋1丁目の土木建設会社「和大(わだい)興業」で4人が死傷した拳銃発砲事件で、殺人容疑などで全国に指名手配された溝畑(みぞばた)泰秀容疑者(45)が、31日未明から同社近くのアパート付近に立てこもり、和歌山県警が投降を説得する緊張状態が続いている。県警によると容疑者は拳銃を2丁持ち、地面に向けて数回発砲。県警は周辺住民に外出を控えるよう呼びかけた。
拳銃2丁持ち1丁は自分に向ける 手配の男への説得続く
溝畑容疑者は銀色の自動式と、黒色の回転式とみられる銃1丁ずつを両手に持ち、和大興業の約100メートル西側のアパートの2階通路や空き部屋、南側に隣接する建築中の民家の足場付近を行き来しているという。
31日午前6時40分、午前7時35分には銃を下に向けて発砲。アパート外階段の上り口に洗濯機のようなものといすでバリケードを作っているという。アパート全11部屋のうち2階の男性(73)が未明に雨どいを伝って脱出。また午前10時半ごろ1階の女性(69)を捜査員が救出するなど、県警は周辺住民を避難させた。
県警によると30日午後9時10分ごろ、同市塩屋5丁目で自転車に乗る溝畑容疑者を見たという110番通報があった。パトカー複数台が急行。午後10時25分ごろ近くの同市打越町で容疑者を見つけた。追跡したパトカーのうち1台が方向転換した際、背後にいた溝畑容疑者が拳銃を発砲。パトカー後部の窓ガラスが割れた。溝畑容疑者はさらに自転車でパトカーの前に出て正面からも発砲し、発砲は計4発に上った。
県警は午後10時35分ごろ、自転車を途中で乗り捨てた容疑者を見失ったが、31日午前0時ごろに、本人が所持していたとみられるナイフ様のものが入ったかばんやシャツ、肌着などをアパート近くで発見。午前1時すぎ、アパート2階通路に逃げ込んだ容疑者を見つけ、捜査員らが周りを取り囲んだ。溝畑容疑者は「10メートル離れろ」と声を上げ、銃口を自身に向けたため、捜査員は「落ち着け」「拳銃をもてあそぶようなことはするな」と声をかけたという。溝畑容疑者はアパートの通路の水道の蛇口を使って顔を洗ったり、水を飲んだりしているという。
現場はJR紀勢線宮前駅から南西約1・4キロの住宅街の一角。県警は29日午後、容疑者が逃走に使ったとみられる乗用車をJR和歌山駅近くで発見していた。立てこもり現場がある塩屋地区の東側の市道の一部区間を通行止めにし、現場一帯に規制線を張り巡らせている。そばには警察官が大勢立って、住民らに出入りしないよう注意を呼びかけている。周辺には臨時休業の店舗も出ている。